生ごみ堆肥化 入れてはいけないもの(塩分)

コンポストに入れてはいけないものとして、塩分が多い物(ぬか床・塩鮭・塩辛他)が、挙げられます

但し、NPO法人循環生活研究所の「堆肥づくりのススメ~コンポストのある循環生活~」によると、食べている程度の塩分濃度であれば気にしなくていいそうです。塩分は水に溶けやすいので土に戻して熟成している間に拡散、微生物の中には塩分を分解する種類もいるんだとか。(注:濃度が高い場合は、塩抜きしてから堆肥化する)

堆肥づくりのススメには、堆肥の塩分は土に戻して熟成している間に拡散と書いてありましたが、それは庭や畑に埋める場合だと思います。プランターや鉢など狭いスペース&少ない土に生ごみ堆肥を混ぜ込んで使う場合、堆肥中の塩分の逃げ場がないので、塩分を含んだ堆肥を多量に配合すれば、植物の生長に支障をきたす可能性の方が高いでしょう。

塩分(塩化ナトリウム)が多い堆肥は、土壌中の水分で、塩素イオン(Clマイナス)とナトリウムイオン(Naプラス)になり、このうちのナトリウムイオンが、植物の肥料として不可欠なカリウムの吸収を阻害するそうです。(参考:Yahoo知恵袋 ごみを肥料にしたいのですが。
参考:カリウムが多く含まれるもの:草木灰や籾殻くん炭

我が家は、あまり気にせずラーメンの汁とかキムチの汁とか塩分の多いものもバシバシ投入していますが、まだダンボールコンポストを初めて1年ちょっとしかたっていないので、出来た堆肥も少なく、堆肥の配合率がかなり低いせいか特に問題はおきていません。この春土いじりした際にはダンボールコンポストで作った堆肥が足りなくて市販の肥料の方が多かったくらいです。もっとも今後ダンボールコンポストで出来た堆肥の使用比率が増えれば、植物の生長に問題が発生する可能性もあります。個人的には、堆肥の配合率(ダンボールコンポストで出来た生ごみ堆肥と土の配合比率は1:4が最適。)を守れば大丈夫じゃないかなぁと思っています。むしろ、油分の方が問題なのでは・・・と思う。(追記:ラーメンの汁やキムチの汁など塩分の多いものはやはりよくないという結論に達し、今は入れていません。)

生ごみ堆肥については塩分・油分による植物の生育阻害が心配されていますが、和歌山県の農業試験場の研究結果によると、生ごみ堆肥(乾物あたり)に含まれる塩分は0.26~2.28%だそうです。(参考PDFファイル:生ゴミリサイクル堆肥 の塩分・油分 含量 の上限
同じ土を繰り返し使用し続けると塩分濃度が次第にあがってくるかもしれませんので、やはり過度に塩分を含む物はダンボールコンポストに入れない方がいいと思います。

ちなみに、一般的に農作物は塩分の多い環境では生きていくことができないと言われていますが、マングローブなどの塩生植物といった例外はあります。マングローブは海の水質浄化にはたす役割が大きいことが知られています。(参考:Wikipedia 塩害より)

微生物には塩分を分解する種類もいる と書いてあったので、この微生物がいれば、塩分が蓄積していくのも防げるかな!?と思い、ネットで調べてみました。調べ方がまずかったのか?いまいち微生物の名前や住んでいる場所まで辿り着けませんでした。でも、海藻を発酵させた物がよさそうな気がします。

塩害に関しては、好塩菌を使って農地の塩害を解消出来ると聞く。砂浜に打ち上げられた海藻を培養液に入れて、好塩菌を増やし、有機肥料とともに塩害のある土壌に鋤き込む事により、植物が塩害に負けなくなり、甘くて良質の作物が取れるという。これは化学農薬の多用で塩害がでているグリーンハウス(温室)でもかなり有効だという。過剰な地下水の汲み上げより引用

海の近くの農家では、海に打ち上げられた海藻を塩抜きしてから、畑に鋤き込んで肥料にしているという話を、どこかのHPで読んだ事があるので、海で拾ってきた海藻に塩分を分解する微生物がいなかったとしても、肥料効果は期待できそうです。

土壌中の塩分を植物に吸収させる方法もあります。

アイスプラントって、スーパーで見た事ありませんか?佐賀大学農学部の野瀬教授が、南アフリカ原産の植物「アイスプラント」の塩分吸収能力に着目し、塩類土壌の修復技術への利用を目的として研究開発を始め、後に野菜化して地域農業の活性化の為に佐賀県特産物として売り出したものがアイスプラントなのです。葉や茎の表面にキラキラと光る水滴のようなものがついていて、口に含むと塩味を感じます。(アイスプラント詳細はこちら→バラフ:バラフとは?

アイスプラントを使えば、土壌中の塩分を吸収できるのかと思っていましたが、バラフとは?の説明の下に、下記のような内容を見つけましたので追記いたします。(2011/1/19追記)

土耕栽培したアイスプラントが食用におすすめできない理由
1 土壌中に「カドミウム」等、重金属が存在した場合、それを吸収し蓄積する可能性があるため。
2 アイスプラントを土耕栽培すると、植物体内で「シュウ酸」という物質を多く合成する可能性があるため。
※ 「シュウ酸」は人体内で「カルシウム」と結合して「尿路結石」の元になる物質です。
※(株)農研堂ならびに契約農家では食用のアイスプラントに適した養液栽培で作っています。
関連記事
注意2)「アイスプラント」の苗を「バラフ」として販売している業者が見られますが、バラフの種子や苗は販売していません。ご注意ください

ちょっと怖いなーと思ってしまった。アイスプラントって水耕栽培なんですね。

塩害対策として、土壌改良の為に研究されている野菜で、中国での試験栽培が実施される予定です。

佐賀大、アイスプラントで中国塩害対策

佐賀大学農学部の研究グループは、根から塩分を吸収する特性がある植物「アイスプラント」を使い、中国の塩害対策に乗り出す。被害が深刻な黄河上流域の甘粛省から招聘(しょうへい)され、砂漠化防止の土壌改良へ向けた交流を始めており、年内にも現地で試験栽培を実施する。

アイスプラントは南アフリカ原産で、ザクロソウ科の一年草。ホウレンソウ大の葉をつけ、根から塩化ナトリウムを吸収し、茎や葉にある袋状の透明な細胞に蓄積する。塩を吸収する能力は約1キロの個体で約14グラムと高く、乾燥などにも強い。

佐賀大の熱帯作物改良学研究室は、干拓地の塩害対策への活用を探るとともに、塩味の新野菜として「バラフ」の名称で商標登録している。

その研究に、甘粛省の科学院地質自然災害防止研究所が注目。同省では温暖化の影響もあり、極度の乾燥で地中の水分が奪われ、地表に塩がたまる農地が拡大。砂漠化にもつながるため、アルカリ土壌の改良へ向けた技術交流を打診してきた。

同研究室は省都・蘭州市での試験栽培で、現地の土壌成分が生育にどう影響するのかを調査。露地や水耕でのノウハウを生かしながら新たな栽培技術を探る。また、種子の不用意な拡散を防ぐため、佐賀大卒の中国農業大教員を介しての管理も検討する。

研究費については同省が予算化を明言しており、国内でも国に申請する。

現地を昨年末に視察した野瀬昭博教授(59)は「農作物がことごとく枯れていた」と深刻さを実感。日本に飛来する黄砂を減らす対策の一つにもなるとして「緑化可能な状態に戻す貢献ができれば」と語る。

佐賀大、アイスプラントで中国塩害対策-佐賀のニュース 佐賀新聞の情報コミュニティサイト ひびのから転載

こうやって考えると、コンポストに塩分が多い物の投入は避けた方がいいけれど、堆肥の作り方や堆肥の使い方によっては、絶対に入れちゃダメって事でもなさそう。ちなみに、醤油製造過程で出る搾りかす(塩分濃度10%前後)も、洗って塩抜きし堆肥化する研究がなされているようです(参考:新潟大学農学部/醤油粕処理と有効利用技術の開発)。さすがに塩分濃度10%前後の場合は、塩抜きするみたい。やはり塩は入れない方がいいという事かな。

塩分は、入れない方がいいという結論に達しました。